1989年に公開された香港映画『ミスター・ココナッツ』（原題：合家歡）は、
マイケル・ホイ主演によるハートフルなホームコメディ。
脚本にはホイ本人のほか、クリフトン・コーやレイモンド・ウォンも参加しており、
笑いと涙を巧みに織り交ぜた家族ドラマが展開されます。
田舎者 vs 香港都会人というカルチャーギャップを軸に、
世代間・文化間の摩擦と理解を描きつつ、軽妙なタッチで家族のあり方を問いかける本作は、
まさに1980年代末の香港社会の縮図とも言える内容になっています。
Contents
主なスタッフとキャスト
監督：クリフトン・コー
脚本：クリフトン・コー、マイケル・ホイ、レイモンド・ウォン
マイケル・ホイ（許冠文）…ガンカイ・ナン
海南島の田舎からやってきた野性味あふれる男。都会生活にはまったく馴染めない。
オリヴィア・チェン…ピン
ナンの妹で、香港で家庭を持つ中流家庭の主婦。
レイモンド・ウォン…ウォン
ピンの夫。都会的で理論派だが、ナンの田舎流の振る舞いに翻弄される。
ジョイ・ウォン…カリン
ナンの義妹。優しくナンに接するも、恋人との間で揺れる。
サイモン・ヤム…フイ
カリンの恋人で大富豪の息子。ナンとの接触により、価値観を揺さぶられる。
リッキー・ホイ…ライム
保険の勧誘員。ナンの生命保険を手配したことで、思わぬ展開に巻き込まれる。
あらすじ
海南島の農村で自然と共に暮らしていたナン（マイケル・ホイ）は、
20年ぶりに妹ピン（オリヴィア・チェン）からの手紙を受け取り、香港を訪れることに。
都会の洗練された生活にカルチャーショックを受けながらも、
妹一家のマンションに居候し、慣れない都会生活に戸惑いながら日々を過ごす。
妹の夫ウォン（レイモンド・ウォン）は、ナンの奔放な振る舞いに頭を悩ませ、
娘たちや義妹カリン（ジョイ・ウォン）も巻き込んで家庭内にはちょっとした騒動が絶えない。
そんな中、ナンはテレビ番組に出演し、幸運にもロンドン旅行を勝ち取る。
家族はナンを疎ましく思いつつ、旅立つ姿を見送り安堵するが、
その夜、飛行機が墜落したという報道が舞い込む。
悲嘆に暮れる一方で、保険勧誘員ライム（リッキー・ホイ）の手配で
多額の生命保険がかけられていたことを知り、欲に目がくらむ家族。
だが、そんな彼らの前に、なんとナンが元気な姿で帰ってくる――！
映画の見どころ
都会 vs 田舎のカルチャーギャップ
ナンの天然な行動が都会の常識を揺さぶり、笑いと混乱を巻き起こします。
香港と中国本土の文化的距離をテーマにしながら、共通する家族愛が浮き彫りに。
マイケル・ホイの絶妙な演技
野生児的な役柄を演じるホイの表情や立ち居振る舞いは絶品。
純粋ゆえに騒動を巻き起こす彼のキャラクターは、観る者に愛される存在です。
ブラックジョークの効いた展開
ナンの“死”に喜ぶ家族と、そこから巻き起こるどたばた劇には、
ホイ作品らしい皮肉がたっぷり込められています。
善悪のグレーゾーンを笑い飛ばす演出が痛快です。
家族の再生ドラマ
最初はナンを邪魔者扱いしていた家族が、少しずつ彼の存在に気づき、
絆を深めていく過程は心温まります。最後には思わずホロリとさせられる一面も。
映画の個人的な感想
『ミスター・ココナッツ』は、香港コメディの魅力がギュッと詰まった作品で、
笑いの中にも深いテーマが潜んでいます。
ナンというキャラクターが放つ人間味は、今の時代だからこそより刺さる部分が多いと感じました。
また、香港社会が急速に近代化していた1980年代末の世相を反映しており、
当時の空気感を知る上でも貴重な一本。
個人的には、ナンがテレビ番組で無邪気に振る舞うシーンがとても印象的で、
笑いながらも少し切ない気持ちになりました。
マイケル・ホイファンはもちろん、ホイ作品を観たことがない人にもぜひおすすめしたい映画です。
まとめ
『ミスター・ココナッツ』は、家族、文化、価値観のズレから生まれる笑いと感動が
詰まったコメディ映画です。
笑えるのに、どこか心が温まる――そんな作品を探している方にはぴったりの一本。
マイケル・ホイの魅力と香港映画の奥深さを味わえる貴重な作品として、
今こそ再評価されるべき名作です。映画予告編とあわせて、ぜひ一度ご覧ください！
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