香港映画史に残る知能戦サスペンス！ 二人のエリート警官が激突する“正義”とは？
香港警察を舞台にした映画は多くありますが、その中でも一際リアルで緊迫感に満ちた作品
として語り継がれるのが、本作『コールド・ウォー 香港警察 二つの正義』。
主演はアーロン・クォックとレオン・カーフェイという香港映画界を代表する二大スター。
そしてアンディ・ラウが監察長官役として存在感たっぷりに出演することでも話題になりました。
香港映画＝銃撃戦・カーチェイスといった派手なアクションのイメージがありますが、
本作は一味違います。
これは、“銃撃よりも言葉の応酬が怖い”
——そんな心理戦と権力闘争を描いた異色の警察ドラマです。
Contents
作品情報
監督・脚本: リョン・ロクマン、サニー・ルク
出演者
アーロン・クォック（ショーン・ラウ）
レオン・カーフェイ（M・B・リー）
アンディ・ラウ（フィリップ・ロク）
チャーリー・ヤン（フェリックス・リョン）
ラム・カートン（アルバート・クォン）
アンディ・オン（マイケル・シェック）
テレンス・イン（マン・トウ）
あらすじ
香港最大の繁華街・旺角（モンコック）で爆破事件が発生。
さらにその直後、5名の警官が車両ごと消息を絶つという前代未聞の誘拐事件が起こる。
海外出張中の警察長官に代わって指揮を執るのは、副長官のM・B・リー（レオン・カーフェイ）。
しかも誘拐された5名のうち1人は、彼の実の息子ジョー。
リーは、警察の威信と息子の命を守るため、全警察力を動員し“コールド・ウォー作戦”を決行する。
しかし、この作戦に反対する人物がいた。
それがもう一人の副長官にして、次期長官候補と目される男——
ショーン・ラウ（アーロン・クォック）。
ラウは、リーが非常事態レベルを引き上げ、“息子の救出”という私情を挟んでいると感じ、
強く反対。
警察組織のトップを狙うふたりは、事態の収拾をめぐって激しく対立していく。
やがて、誘拐事件の裏には、警察内部の腐敗、巨大な権力闘争、そして誰もが想像しなかった
“黒幕”の存在が浮かび上がる——。
見どころ
“派手なアクションよりも恐ろしい”言葉と権力の戦い
本作の主役は、銃でも、拳でもありません。
組織の内部に渦巻く権力と正義のぶつかり合いです。
・息子を失いかけた“父”としてのリー
・公私混同を許さない“組織人”のラウ
この対立が、全編を通してものすごい緊張感を生みます。
２人とも間違ってはいない。
だからこそ、どちらの“正義”が正しいのか、観客も試される構造が見事です。
アーロン・クォック×レオン・カーフェイ
香港映画界の名優2人が、これでもかと役の魅力をぶつけ合う！
・レオン・カーフェイ → 傷ついた父親、必死の指揮官
・アーロン・クォック → どんな判断でも淡々と下す冷徹なリーダー
このコントラストが素晴らしく、どちらにも共感できてしまう。
2人の演技合戦は、まるで香港版『ヒート』のような迫力です。
さらに存在感を放つアンディ・ラウ
監察長官として現れるアンディ・ラウ。
出番はそこまで多くないものの、
一つの言葉、一つの視線が物語を大きく動かすキーパーソン。
「現場 VS 組織上層部」
という構図をさらに複雑にし、物語に深みを与えています。
実際の香港警察の組織構造に基づいたリアリティ
本作の面白さは、リアルな香港警察の階級制度や指揮系統を徹底再現している点。
・行動班
・保安管理班
・監察課（ICAC）
など、本当にこんなやり取りが行われていそうだと思わせる説得力があります。
“香港映画あるある”の無茶な設定ではなく、緻密に作られた警察ドラマです。
見どころは後半の“意外すぎる真相”
物語の後半で、誘拐事件の真相が徐々に明らかになるにつれ、
“誰も信用できない”空気がどんどん強まっていきます。
そして訪れる衝撃のラスト。
「まさか、この人が…？」
と、思わず声が出てしまうほど。
香港映画らしい“闇”と“裏切り”が、後味として心に残ります。
個人的な感想
本作の最大の魅力は、
派手なアクションに頼らなくても観客を惹きつける脚本の強さ
だと思います。
香港映画はどうしてもアクションや派手さのイメージが前に出がちですが、
『コールド・ウォー』は“静かに進むスリラー”という意味で異色。
特に、誰が正しいのか、誰が嘘をついているのか、
観ている側がずっと揺さぶられる感覚が最高に楽しい。
そして、アーロン・クォックが演じるショーン・ラウは、
冷徹でありながら正義への信念を貫く“新時代の警察像”。
このキャラクターが魅力的すぎて、本作を一気に格上げしています。
また、レオン・カーフェイの“父としての弱さ”と“警察官としての強さ”の両立は圧巻。
彼の演技があるからこそ、この映画は感情の深みを獲得しています。
２人の対立は、悪と善の構図ではなく、
正義と正義の争い。
これが本作を名作にしている理由です。
香港映画が好きな人はもちろん、
緻密なサスペンスが好きな方にも強くおすすめできる一本です。
▼ 『コールド・ウォー 香港警察 二つの正義（2013年）』の予告編はこちら！
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