最悪の総理がまさかの“記憶喪失”!? 三谷幸喜流・政界コメディの真骨頂!
「政治家が記憶喪失になったら、世界はどうなるのか?」
――そんな突拍子もない発想を、三谷幸喜がコメディに落とし込み、
見事に“笑って考えさせられる”映画へと昇華させたのが
『記憶にございません!』(2019年)です。
主演は中井貴一。
共演にはディーン・フジオカ、石田ゆり子、草刈正雄、佐藤浩市、小池栄子と
豪華俳優陣が揃い、テンポの良い会話劇と絶妙な間合いで、
政治の裏側と人間ドラマが織りなされていきます。
Contents
主なキャスト
監督、脚本:三谷幸喜
出演者:
中井貴一(黒田啓介):
記憶喪失になった現職総理大臣。かつては史上最悪の悪徳政治家だったが…。
ディーン・フジオカ(井坂):
総理付きの若き秘書官。誠実で有能。
石田ゆり子(黒田聡子):
総理の妻。冷静で上品ながら、複雑な心情を抱えている。
草刈正雄(鶴丸大悟):
財務大臣。政界の“切れ者”であり、黒田の天敵的存在。
佐藤浩市(古郡祐):
官邸で暗躍する謎の人物。
小池栄子(番場のぞみ):
敏腕秘書官であり、黒田の“中身”が変わってしまったことに最も動揺する一人。
斉藤由貴(寿賀さん):
総理公邸の家政婦。ユーモアと温かさで物語を支える。
あらすじ
物語の主人公は、現職の内閣総理大臣・黒田啓介。
彼は“国民に最も嫌われた総理”として、支持率わずか2.3%を叩き出すほどの
悪名高き政治家。
そんな彼がある日、市民に投げられた石が頭に命中し、記憶を失ってしまう――!
ただの事故では済まされない事態にもかかわらず、政治的混乱を避けるため、
秘書官たちは黒田の“記憶喪失”を極秘扱いに。
総理大臣は、自分が何者かもわからぬまま、政務をこなしていく羽目に…。
しかし皮肉なことに、記憶を失った黒田は、
かつての冷酷な悪徳政治家ではなく、誠実で優しい“ただのおじさん”へと変貌していた。
果たして、記憶を失ったまま“理想のリーダー”として再出発できるのか?
それとも、いずれ記憶が戻って元の“黒い総理”に戻ってしまうのか――?
映画の見どころ
① 中井貴一の“七変化”コメディ演技
中井貴一といえば、硬派な役柄の印象が強いですが、
本作では“天然で心優しい総理”という一風変わったキャラクターを熱演。
表情、動き、言葉遣いひとつひとつがユーモラスで、観る者を飽きさせません。
政治家としての威圧感と、記憶喪失後の“無垢なおじさん”のギャップが笑いを生みます。
三谷幸喜作品における“中井貴一コメディの完成形”とも言えるでしょう。
② 三谷ワールド全開の“群像劇”
三谷幸喜といえば、個性豊かなキャラクターたちの掛け合いと、
絶妙な間合いの会話劇が魅力。
本作でも、ディーン・フジオカや石田ゆり子、小池栄子らが、
それぞれの立場で奮闘しながらも笑いを織り交ぜて演じきっています。
特に、首相官邸という“閉ざされた空間”で繰り広げられる駆け引きやドタバタ劇は、
舞台演劇のようなテンポの良さがあり、クセになる面白さ。
③ 政治を「笑い」で斬る三谷流の風刺
「政治風刺」と聞くと少し堅苦しい印象がありますが、
三谷作品はあくまで“笑い”を通して、現代社会への皮肉や疑問を描き出します。
本作では「政治家の人格と中身」「有権者の期待と現実」など、
実はけっこう鋭いテーマも含まれています。
けれど、それを声高に主張せず、あくまで“笑い”の中に自然に溶け込ませている点が、
三谷幸喜の真骨頂と言えるでしょう。
映画の個人的な感想
個人的には、“政治家が記憶をなくす”という設定が、
まさに三谷幸喜だからこそ成立したユニークな着想だと感じました。
堤真一の『アニキ』も良かったですが、中井貴一の“変化”を軸にした本作のドラマは、
笑えるだけでなく、どこか心がじんわり温かくなる不思議な魅力があります。
もちろん、重厚な政治ドラマではありません。
でも「こんなリーダーならいいな」とか、「自分も変われるかも」と
ふと感じさせてくれるあたり、ただのコメディではない深さがありました。
まとめ
『記憶にございません!』は、
笑ってスカッとして、ちょっと考えさせられる“政治エンタメコメディ”です。
・三谷幸喜作品が好きな人
・笑って前向きになれる映画を探している人
・中井貴一の新たな魅力を見たい人
そんな方にぴったりの1本。
堅苦しい社会問題を“軽やかに”描きながら、観終わったあとにちょっと元気をくれる。
それが本作の最大の魅力です。
ぜひ予告編でその雰囲気をチェックしてみてください!
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