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ポルターガイスト3/少女の霊に捧ぐ…(1988年) 映画予告編付き

スピルバーグ&ホラー史に刻まれた“呪われたシリーズ”第3弾

ヘザー・オルーク最後の出演作

1988年公開の『ポルターガイスト3/少女の霊に捧ぐ…』は、

アメリカ・ホラー映画史の中でも特に“異様な存在感”を放つ作品です。

なぜなら、本作は ヘザー・オルーク(キャロル・アン役)最後の出演作であり、

公開前に彼女が急逝したこともあって、作品自体に“呪われた映画”としての

印象が深く刻まれています。

舞台はこれまでの家庭的な郊外住宅から一転し、

ガラス張りの超高層マンション(スカイラインタワー) へ。

鏡が張り巡らされた建物を活かした演出が、本作最大の恐怖ポイントとなっています。

監督はゲイリー・シャーマン。

前2作に比べてより“心理的・視覚的な恐怖”を重視し、

鏡、霧、水面などを利用した演出は、現在でも評価が高いポイントです。

主なスタッフ・キャスト

監督:ゲイリー・シャーマン

脚本:ゲイリー・シャーマン、ブライアン・タガート

出演者

トム・スケリット(ブルース)

 キャロル・アンの叔父。責任感と家族愛に満ちた人物。

ナンシー・アレン(パトリシア)

 キャロル・アンを預かる叔母。理性的だが霊現象に翻弄される。

ヘザー・オルーク(キャロル・アン)

 シリーズの中心となる少女。再びケイン牧師に狙われる。

ゼルダ・ルビンスタイン(タンジーナ)

 霊媒師。シリーズの象徴的存在。

ララ・フリン・ボイル(ドナ)

 ブルースの娘。思春期でキャロル・アンとは複雑な関係。

キップ・ウェンツ(スコット)

 ドナの友人。超常現象に巻き込まれる高校生。

リチャード・ファイア(ドクター・シートン)

 キャロル・アンの症状を心理学で説明しようとする医師。

映画のあらすじ

前作『ポルターガイスト2』で恐ろしい霊ケイン牧師を退けたのち、

キャロル・アン(ヘザー・オルーク)は安全を期するため両親から離れ、

シカゴにある叔父ブルース(トム・スケリット)の家へ預けられる。

新しい住まいは、巨大な鏡張りの高層マンション「スカイラインタワー」。

叔父夫婦ブルースとパトリシア、そして従姉のドナと暮らし始めるが、

キャロル・アンは前作での恐怖の影を完全に振り払えてはいなかった。

そんなある夜、

鏡の向こうに“あのケイン牧師”が再び姿を現す。

キャロル・アンは強烈な悪寒と予感に襲われ、

「また来る…」と告げるが、大人たちは信じない。

精神医学を研究するドクター・シートンは、キャロル・アンを

「心的外傷から自己暗示を起こしているだけ」と診断する。

その翌日、

マンション全体に広がる“鏡”から、不可解な現象が次々と起こり始める。

・鏡の中でだけ動く“もう一人の影”

・消えてしまうマンションの住人

・霧と氷で覆われる廊下

・エレベーターが“鏡の迷宮”へとつながる

事態を重く見た叔父夫婦は、

キャロル・アンの戦いを知る霊媒師・タンジーナ(ゼルダ・ルビンスタイン)を呼び寄せる。

タンジーナは言う。

「ケインはまだ終わっていない。彼はキャロル・アンを必ず連れていく。」

鏡と霧の迷宮と化したマンション。

叔父の娘ドナまでもが“鏡の向こう側”に引きずり込まれる。

ブルース、パトリシア、スコット、そしてタンジーナは

キャロル・アンとドナを救うため、

ケイン牧師の怨念が渦巻く異界へと足を踏み入れる。

キャロル・アンは再び、

“光の世界”と“霊の世界”の境界線で命を懸けた戦いに臨む。

果たして彼らは、

鏡の迷宮と悪霊ケインの支配から脱出することができるのか——。

映画の見どころ

ホラー映画ファンとして絶対に押さえるべきポイントを解説します。

シリーズ最大の特徴「鏡の演出」

本作最大の評価ポイントは、

ほぼ全編で“鏡”を使ったホラー描写が展開されること。

鏡に映ったキャラが遅れて動いたり、

鏡の中の人物が“笑ったままこちらを見ていたり”。

CGはほとんど使わず、

職人技による実写トリックが多用されている点も高評価。

ホラー映画史に残る「鏡の恐怖」を作り上げた作品と言えます。

ケイン牧師の恐怖(実在の俳優ジュリアン・ベックの存在感)

前作で登場したケイン牧師。

本作では俳優が異なるものの、その不気味さは健在。

実際、前作でケイン牧師を演じたジュリアン・ベックは

撮影後に逝去しており、その事実が作品に“呪われた印象”を付与しています。

本作もまた、ヘザー・オルークの死によって“シリーズ全体が呪われた映画”と

呼ばれるようになりました。

高層マンション×クローズドサークルの恐怖

舞台となるのはガラス張りの巨大マンション。

逃げ場が少なく、鏡だらけという特殊環境が恐怖を倍増。

ホラー映画では珍しい“近代的建築物ホラー”としても高く評価されています。

ヘザー・オルークの圧倒的存在感

シリーズの顔であるキャロル・アンを演じたヘザー・オルーク。

本作撮影後、わずか12歳でこの世を去った彼女の演技は、

いま振り返ると胸が締め付けられるほど強烈です。

彼女の最後のセリフ、最後の表情。

そうしたものが映画全体をより切なく、印象深いものにしています。

個人的な感想

ポルターガイスト3は、シリーズの中で賛否両論がある作品です。

その理由は明確で、

・舞台がガラッと変わった

・家庭ドラマ要素が薄い

・前作からのストーリー的連続性が弱い

といった変化によるものです。

しかし、それ以上にこの作品の価値は

“鏡を使った恐怖演出の完成度” にあります。

鏡の中の“もう一人の自分が動く”というベタな恐怖を

真正面から本気で作り込み、

ノンCGの職人技でやり切った点は特筆に値します。

また、ヘザー・オルークの存在感が本当に素晴らしく、

彼女の表情や仕草の一つ一つが作品に重みを与えています。

シリーズの終焉として相応しいか、と問われれば議論の余地はありますが、

ホラー映画としては間違いなく見応えのある一本。

特にホラー演出の研究者や映像クリエイターには必見の映画です。

まとめ

『ポルターガイスト3/少女の霊に捧ぐ…』は、

・鏡を使った実写ホラー演出の金字塔

・シリーズの中でも最も美術的・視覚的な恐怖に寄った作品

・ヘザー・オルーク最後の出演作として特別な位置づけ

・ケイン牧師との因縁がついに決着する物語

といった特徴を持つ、1980年代ホラーの異色かつ重要作品です。

ホラー映画としての完成度も高く、

超常現象系ホラーが好きな方には必ず刺さる一本。

シリーズを通して見てきた方はもちろん、

単独で観ても楽しめる内容になっています。

ぜひ、予告編とあわせて作品世界を体験してみてください。

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