1985年に公開された香港映画『新Mr.Boo!鉄板焼』（原題：鐵板焼）は、ホイ三兄弟の長兄、
マイケル・ホイが監督・脚本・主演を務めたコメディ映画。
香港らしい食文化と人間関係の機微を、笑いと風刺を織り交ぜて描いた本作は、
今なお多くのファンに愛されています。
タイトルの「鉄板焼」が象徴するように、舞台は鉄板焼レストラン。
鉄板の上で繰り広げられるような熱々の人間模様と、恋愛・家族・義理人情の交錯が、
本作の大きな魅力となっています。
Contents
主なスタッフとキャスト
監督・脚本：マイケル・ホイ（許冠文 / Michael Hui）
マイケル・ホイ(ジョニー)
料理人として鉄板焼レストランに婿入りした男。
義父と妻に悩まされながらも、過剰な接客を武器に女性客にアプローチする。
サリー・イップ(シーシー)
レストランの常連客で、美しく知的な女性。ジョニーの理想の女性。
ロー・ホイパン(義父)
短気で厳格なレストランのオーナー。ジョニーに対して容赦ない態度を取る。
あらすじ
103歳の祖父と共に路頭に迷っていた料理人・ジョニー（マイケル・ホイ）は、
ある日鉄板焼レストランのオーナー家に婿養子として迎えられる。
恩義に報いるべく料理長として働くが、気の強い妻と癇癪持ちの義父には毎日こき使われ、
息の詰まるような生活を送っていた。
そんなジョニーの唯一の楽しみは、女性客への過剰な“神対応”サービス。
なかでも理想の美女・シーシー（サリー・イップ）が来店したとき、
彼の恋心は一気に燃え上がる。
テニスの腕を見せてシーシーの友人に勝利したジョニーは、彼女とフィリピン旅行へ行くことに。
だがそこで待ち受けていたのは、予想外の展開と現実の壁だった…。
果たしてジョニーの恋と人生は、どこへ向かうのか？
映画の見どころ
マイケル・ホイ節炸裂の一人芝居
ジョニー役のマイケル・ホイは、料理人としての所作から恋する男の滑稽さまで、
全身を使ったコミカルな演技で魅せてくれます。
厨房とホールを縦横無尽に動きながら繰り広げられる、独特な間の笑いは彼ならでは。
鉄板焼き店を舞台にした日常のディテール
料理の音や香りが漂ってきそうなリアルな調理シーンは、まさに香港ならではの生活感。
おいしそうな料理に加え、鉄板を挟んだ人間関係のやりとりも見応えあり。
家族と義理のリアルな葛藤
一見コメディに見えながらも、義父との関係や妻との価値観のズレなど、
リアルな家庭の葛藤が丁寧に描かれている点も本作の魅力。
義理人情がテーマの一つとして浮かび上がってきます。
大人の恋愛と社会風刺
ジョニーの“現実逃避”の象徴であるシーシーとの関係も、ただのラブコメでは終わらず、
社会的地位や人間の欲望をほのめかす風刺が込められています。
ラストには皮肉の効いた結末が待っています。
映画の個人的な感想
『新Mr.Boo!鉄板焼』は、マイケル・ホイらしいユーモアと社会への視線が融合した、
非常に完成度の高いコメディだと感じました。
義父にビクビクしながらも、シーシーに恋して夢を追うジョニーの姿は哀愁があり、
笑いながらもどこか切なさが残ります。
特に印象的だったのは、鉄板焼きの“音”。油が弾け、肉が焼ける音がジョニーの心情と
リンクし、観ているこちらまで感情が揺さぶられました。
また、サリー・イップ演じるシーシーの知的でミステリアスな魅力も作品に深みを加えています。
“笑って泣けて、最後に考えさせられる”という、コメディ映画として
理想的な三拍子が揃った作品だと思います。
ホイ作品の中でも屈指の完成度であり、特に大人にこそ観てほしい1本です。
まとめ
『新Mr.Boo!鉄板焼』は、単なるドタバタコメディにとどまらず、
家庭・恋愛・社会風刺という複雑なテーマをマイケル・ホイらしい笑いで包み込んだ傑作です。
今なお色あせることなく、人生の酸いも甘いも感じさせてくれるこの作品。
Mr.Boo!シリーズを通してホイ兄弟の魅力に触れたい方は、
ぜひ本作をチェックしてみてください！
▼ 『新Mr.Boo!鉄板焼（1985年）』の予告編はこちら！
▼ 映画を観るならこちら！
ポチップ
